黒部峡谷 祖母谷温泉、欅平~水平歩道~阿曽原温泉小屋往復(2018年9月22~24日)

もともとの計画は黒四ダム→黒部下ノ廊下→阿曽原温泉小屋(泊)→黒部水平歩道→欅平→黒部峡谷鉄道で宇奈月温泉(泊)だった。このコースのハイライトは下ノ廊下。だが毎年雪崩で登山道はダメージを受けるため、シーズンごとに補修が行われる(毎年苦労して整備してくださる方には本当に頭が下がる思いだ)。今年は台風など天候不順で下ノ廊下の補修が遅れているらしく、阿曽原温泉小屋のHPを毎日のようにチェックするも、通過OKが出ないため、やむを得ず宇奈月温泉からの阿曽原温泉小屋往復に切り替えた。連休ということもあり会員10名が参加した。

21日の夜に道の駅「うなづき」にて仮眠するが、夜から降っていた雨は22日朝になっても止む気配がない。いろいろ考えた結果、この日は停滞することにし、阿曽原温泉小屋に行くのを1日遅らせることにした。その旨、小屋に連絡すると、小屋オーナーから、「今日の内に欅平に上がって祖母谷温泉に泊まるのもいいかも」と提案を受けた。確かに、その方が翌日、黒部峡谷鉄道の始発を待たずに早く行動できる。

早速トロッコ列車のチケットを買い、欅平へ。欅平は賑やかだったが、祖母谷温泉まで来る観光客は少ないと見えて、宿はゆったりしていて、静かにゆっくりと温泉に浸かることができた。急にお願いしたのにおいしい料理をたっぷり振舞ってもらって大満足だった。河原に湧き出す、沸騰するほど熱い地獄谷温泉も迫力があった。

いくつになってもトロッコ列車はワクワク!

赤いトロッコは緑の中によく映える

地獄谷温泉。熱くてとても入れない!

23日は爽やかな晴れ。欅平からはいきなり40分の急登。その先の展望台で青空に浮かぶ毛勝山やサンナビキ、遠くに唐松岳から不帰キレットの山並みなどを目に収める。

右のピークが唐松岳、ギザギザが不帰キレット

水平歩道は黒部峡谷の断崖を削って造られた一条の道。そのほとんどに太い針金が張られているので、各自の判断でカラビナを掛けながら進む。それなりに山慣れしている我々にとってはさほど大変な道ではなかったが、それよりも閉所恐怖症の会員には何より狭くて真っ暗なトンネルが恐ろしかったようだ。

横一直線。先人の苦労がしのばれる。

これは先が見えてるからいいけど、先がまったく見えないトンネルも。

水平歩道のハイライトは、深い谷にせり出すようにトンネル状の道が続く「大太鼓」と名前が付いた箇所。よくもまぁ、岩を掘削してこんな道を造ったものだと驚くばかりだ。

きれいにコの字型にくり抜かれている大太鼓

巨大な雪のブロックもまだ残っていた。

折尾谷出合を過ぎると徐々に下りになり、やがて樹間に阿曽原温泉小屋が見えた。この小屋は黒四ダムから欅平までの間で唯一の営業小屋。名物の温泉は小屋から5分ほど下ったところ。囲いも脱衣所も無い露天風呂は、まさに大自然のど真ん中の天然湯。

毎年シーズンが終わると、雪で押しつぶされないように壁や柱を外して翌シーズンまで倉庫で保管するそうだ。

シンプルな造りがより自然との一体感を醸し出す

夕食のカレーはとてもおいしく、3杯もおかわりする会員も。小屋オーナーの佐々木さんのよもやま話や苦労話なども聞いて団らんの時間を過ごした。混雑するときは布団1枚に2人ということもあるようだが、今回は1人1枚のスペースがあった。

24日、昨日歩いた水平歩道を欅平へ向かう。下ノ廊下が通れないからといって山行そのものを中止しなくて良かった。今回のようにコースを変えるにしても、とりあえず現地に足を出せばやはり楽しい。再びトロッコ列車にゴトゴト揺られ、宇奈月温泉でさっぱりした後、富山名物のブラックラーメンを食べて帰路に着いた。
来年は下ノ廊下を歩けることを期待して、また来ることを誓った。