夏合宿 北アルプス雲ノ平(中退) 2022年7月16~18日(前夜発)

以前から行きたいと思っていた雲ノ平だが、日数がかかることやコロナウィルス感染の影響でなかなか計画を立てられずにいた。それが今回やっと夏合宿として足を踏み出すことができたのだが、結果的には悪天のため双六岳ピストンに終わってしまった。雲ノ平は遠かった。。。

7月16日早朝、東京在住会員と神戸在住会員が新穂高で無事に合流した。共同装備分けと軽く腹ごしらえをしていざ出発。天気予報はあまり良くないが、鏡平に向かう道中は青空となり、双六にテントを張るまでなんとかもってくれと祈る。カンゾウやササメユリの咲く平坦な砂利道を30分ほど歩いてわさび平小屋で休憩。小屋の前には大きな水槽に飲み物やら野菜やらが冷やしてあり、涼しげでカラフルでおいしそう。さっそくトマトをかじった。

その先さらに30分ほどで小池新道入口。ここから山道となる。ピンクの花のタニウツギなどの灌木帯の石の道を夏の日差しに照らされて登っていくと沢の音が聞こえてきた。秩父沢だ。冷たい水が豊富に流れていてありがたい休み場だ。ボトルに詰め、手拭いを濡らして涼をとる。なぜ、ここで「秩父」なのかと不思議に思ったので帰宅後に調べたら、昔、秩父宮(1902~1953)が槍ヶ岳から笠ヶ岳に向かう際、通った稜線上を秩父平とし、そこからの沢として秩父沢と名付けられたそうだ。

緑とお花いっぱいの開けた登山道。黄色くて小さめの花はミヤマキンポウゲ、大きめはミヤマキンバイの群落だろう。イタドリヶ原、シシウドヶ原と名付けられた場所もある。そんな中、暑さのせいかYさんの足が攣りだしてつらそうだ。薬を飲み、塩分補給、痛み止めシートを貼ったり、荷物を少し分けたりして歩を進めてもらう。

対岸の稜線の端っこに槍の頭が見えたのも束の間、雲が出てきて鏡平の手前で雨具を着る羽目になった。鏡池に槍は映らなかったが、鏡平小屋に到着して一段落。営業小屋に宿泊はできるが、テント場はない。休んでいる間、雨が上がったので雨具は脱いでしまった。コーヒーフロート1000円だがそれだけの価値はあった。ここまで抜きつ抜かれつしながら上がってきた単独の女性が声をかけてきて、双六小屋まで行く予定だったが天気が悪いので、鏡平小屋泊に変更してゆっくりして帰るとのこと。我々は双六までがんばろう。

登り出すとまた雨が降ってきてさっき脱いだ雨具をまた着る。Oさんは雨具のズボンははいたままだったので上だけ着ればよくてスムーズだ。空があやしいときはその手でいこうとひとつ学んだ。標高が上がると右の谷からの風もあるし、所どころ残雪もあって体が冷える。弓折岳から笠ヶ岳方面の分岐を過ぎて主稜線に上がる。雨がますます強くなり、雨具を着ていてもびしょ濡れ。最悪の場合、ここにテントを張ろうかという雪原もあったが、まだ歩けるので、休まずに双六テント場をめざした。

小屋が見えてからも意外に長かったが、双六テント場にようやく到着。すでに20張りくらいか。ネットで調べてテント場の予約不要と思っていたが、この日は予約が必要だったとのこと。幸いキャンセルが出たため通常料金で張らせてもらえた。それでも1人1泊2000円。トイレ1回200円。今はこれが北アルプスの相場となっている。ビールは350ml缶600円なり。

テントに入れば楽しいわが家だ。乾杯!残念なことに直前に家庭の事情で不参加となってしまったTさんからの差入れの干物をあぶっていただく。晩ご飯はYさんが準備してくれた。α化米ごはんに紫蘇昆布、さけほぐし、ちりめん山椒、牛そぼろをたっぷりかけて食べた。

明日、明後日も雨模様の不安定な予報なので、このまま先に進むと悲惨なことになりそうだ。期待はできないが明朝、再度天気を確認して進退を判断することとした。もしここまでとなっても、Sさんはまだ双六岳に登ったことがないので、ここまで来たなら登っておいたほうがいいだろうと話してシュラフに入る。夜中にザアザア雨が降った。

17日朝、雨は上がっていた。今のうちに双六岳に登ってこよう。Yさんをテントに残して4人で水とカメラだけ持って出る。上ではガスで展望が利かないのがとても残念だったが、帰りは中道ルートを下ると日が差してきてチングルマ、ハクサンイチゲ、シャクナゲ、シオバカマ、ハクサンチドリ、クロユリ、コバイケイソウなどお花畑がきれいだった。テントに戻ってしばし検討するが撤退を決断。この日はわさび平小屋までとする。

下りはやはり楽だ。稜線上はガスがかかっている。もう一泊できるのもうれしくて後ろ髪をひかれる思いはなかった。また鏡平で長めに休憩。ここで雲ノ平山荘に雲ノ平テント場予約キャンセルの電話を入れた。さらに快調に下っていくが、秩父沢のあたりからまた小雨がパラついてきた。山の上は本降りか。わさび平15:40着。テント場は小屋の少し先から左に入った林の広場。静かで雰囲気のいいところだ。他に2張りのみ。

18日朝、出発前にソロの男性と話す。彼は、ここにテントを残して未明に出発して1日で黒部五郎岳までピストンしてきたという。帰着は我々より遅く日が暮れてからだった。荷物を極力軽量化するため、水や食料は先々の小屋で調達したとのこと。それにしても地図上のコースタイムは約22時間だから、ものすごい健脚だ。我々も今度また雲ノ平にトライするならスピーディーに行動するためにはそれも一案と話したのだった。この日も下界は晴れているが、稜線を見上げると暗い雲に覆われている。中退したことに後悔はない。新穂高から平湯にバスで出て、“ひらゆの森”でお風呂(600円)に入り、おいしい食事のあと、東京組と神戸組に分かれて解散。神戸組は途中で飛騨高山観光を楽しんで帰ったようす。皆さん、お疲れさまでした。