佐渡 金北山~ドンデン高原 縦走(2022年4月28~29日前夜発)

今回はひたすら花をめでる山行だった。発見した主な花は以下の通り。

名前がわからないものも含めて、とにかくよく咲いていた。樹木の木陰で咲いていても、量が多く登山道の近くまであるので目立つ。カタクリは終わりに近かったが、一生分のカタクリを見たような気がする。

 もともとは椿登山口というドンデン山荘の東側の登山口から入山するつもりだったが、出かける前々日くらいに、メンバーが佐渡トレッキング協議会のHPで、椿登山口コースは通行禁止になっていると教えてくれた。今年は残雪が多くて危険なんだそうだ。仕方がないので急きょ、縦走の向きを変更して逆側の金北山登山口に向かった。タクシーの運転手さんが沢口登山口は車で入れないとのことで、栗ヶ沢登山口に連れて行ってくれた。

 この日は快晴で気持ち良い木漏れ日。歩き始めてすぐにカタクリやショウジョウバカマが現れた。神子岩まで来ると急に開けて、佐渡島の東西の湾が両手に見えた。ところどころヤマザクラも見えた。

 登るほどに登山道に残雪が多くなって、道がわかりにくくなった。最後の急登のやぶをこぐと金北山の直下の縦走路に出た。金北山頂は自衛隊の施設が廃墟となって残っていて、なんとも異様。2010年まではこの警戒管制レーダーが使われていたようだが、隣の妙見山に新型ができて役目を終えたそうだ。気象条件が厳しいからなのか、10年でこんなに荒れてしまうとは。昨今はミサイルが飛んでくるので新型が必要なのもわかるが、山頂は原状回復してほしいところだ。とはいえ貴重な税金なのでそうも言えないかぁ、複雑な気持ち。

時間があれば廃墟の中も探検したいところだったが、だいぶ遅くなってしまったのでテント場探しを急ぐ。金北山からは稜線歩きだが、あやめ池の方に降りるところで残雪の結構な急斜面が現れた。上から見ると下がどうなっているか見えないほどの斜面だった。張ってあったロープを使って一番手が降りると、急なのは上の方だけで、なんとか大丈夫そうだとわかった。それでもだいぶドキドキしながら降りた。30mほどだろうか、ここだけはちょっと嫌だった。チェーンスパイク、軽アイゼンが役立った。

幕営地はあやめ池の周辺で期待していたが、池の周りは樹林帯で湿地になっておりなかなかいいところがなかった。もう少し稜線を歩いて、登山道の脇に少し開けたところがあったので、雪の上だったがそこでいいことにした。この時期のテント場探しはなかなか難しい。夕食はカレーうどん。テントで久しぶりに楽しい夜を過ごした。

2日目は天気が下り坂の予報。でも前日頑張った甲斐もあり、余裕を持って気楽に歩くことができた。ここの稜線は海や花を見ながらの気持ちの良いコースで、そんなに苦しいこともなくトコトコと歩けた。誰にも会わずに静かに歩けたのも良い。花がたくさんあって写真を撮るために屈んだり立ち上がったりするのが疲れた。佐渡トレッキング協議会に事前に送ってもらったトレッキングマップに書いてあった花の紹介がとても役に立った。

雨が降る前にドンデン山荘に到着。ドンデン山荘は車でも行ける立派な山荘で、カレーやコーヒーを頼んでゆっくりできた。天気が良ければドンデン山荘のテント場で一泊して翌日も少し歩いてから下山しようと思ったが、だいぶ天気が怪しくなってきたので、タクシーを呼んで早々に下山することとした。前日に送ってもらったタクシーの運転手さんを呼んだら割とすぐ来てくれて助かった。(ちなみにこの運転手さんとは帰りのフェリー乗り場でもばったり再会して、なんだかほっこりした。)

下山後は、フェリー乗り場前のレンタカー屋へ。さすがのGWで、なんとか借りられたのは10人乗りのハイエース。4人には豪華な広さ。この日は暴風雨で、山上で幕営していたら相当辛かったと思う。

翌日は朝からすっきりと晴れて終日観光。矢島・経島でたらい舟に乗り、宿根木の伝統的町並みを散策し、トキの森公園でトキの観察と、南の海岸をぐるっと半周して両津に戻った。海岸沿いのドライブで、のんびりとしたいい旅になった。ゆたかや旅館の食事も魚や米をはじめ、佐渡の食材がたくさん使われてとてもおいしく、大満足だった。行き帰りともに佐渡汽船のカーフェリーは真新しい船で、2等のじゅうたんエリアも十分居心地が良く、半日くらいゴロゴロ乗っていたいくらいだった。今回は急なコース変更となったが、予定していたコースはほぼ歩けたし、想像以上にたくさんの種類と量の花が見られて本当に良かった。

四国春合宿(2019年4月28日~5月5日)

例年の春合宿は東日本の残雪の山に行っていることが多かったが、今年は連休が長いため、例年と趣を変えて四国の三嶺縦走と石鎚山縦走を計画した。家族連れの会員含め、総勢11名でにぎやかな合宿となった。

4月28日(日)
神戸在住のメンバーと新神戸駅で集合し、レンタカーで徳島へ。翌日、翌々日は雨という予報だったため、徳島の三嶺縦走の計画は諦め、29日は剣山ピストンにすることにし、30日以降に石鎚山縦走にすることとした。このため、初日は奥祖谷二重かずら橋キャンプ場に泊まることにした。ここのキャンプ場は、徒歩でしか渡れないかずら橋を渡った対岸にあるので少し大変だが、橋に加えて「野猿(やえん)」という人力ロープウェイ(?)もあり、アスレチックのようでなかなか楽しかった。

奥祖谷二重かずら橋キャンプにある「野猿」。橋を渡った方が早いけどアスレチック的でワクワクする。

4月29日(月)
予報通り、雨。気持ちは上がらないが、とにかく剣山に登るため、登山口へ移動。リフトが動くのは8:30だったが、天気も悪くなる方向だったのでリフトは使わずに登り始めることとした。今回は会員の娘さん(8歳)も同行。悪天候のせいでだいぶ辛そう。稜線に出ると風が強く、とても寒くなった。頂上付近は木道で笹原が保護されているようだが霧雨でほぼ何も見えず、風で声も聞き取りづらいのでみんな黙々と歩いた。山頂(1955m)も看板以外は何も見えず、写真だけ撮ってさっさと下る。山頂直下の大剣神社で登山安全のお参りだけはした。来た道をそのまま下山。下りはあっと言う間だった。そんな感じでほぼ修行のような山行で、娘さんには少し気の毒だった。

うっすらと虹が!リフトの上の駅あたりで。晴れてたら気持ちよさそうな笹原。

登山口にある剣神社。この日が開山日だったので神事も執り行われていた。

下山後、つるぎ町貞光の手打ちうどん屋「のぶ」に立ち寄った。リーズナブルでとてもおいしく、いわゆる讃岐うどんのセルフの店を楽しむことができた。
昼食後にこの日のキャンプ場所を検討。元々は西条市の川原「トリム公園」で幕営予定だったが、雨の中、四阿も炊事場も何も無い単なる川原は辛そうということで、つるぎ町から西条市へ向かう途中の新居浜市民の森キャンプ場に行くことにした。娘さんを連れてきていた会員は家族で桂浜へ向かうとのことで、昼食後にお別れし、以後は8名での行動となった。
新居浜市民の森キャンプ場はゆったりして管理人の方も親切で、良い場所だった。新居浜温泉パナスで濡れた体を温め、四国ローカルスーパー「マルナカ」新居浜本店に買い出しに行った。夜も雨が降り続いていたが、翌朝の予報は曇りのち雨になっていたので、30日は笹ヶ峰登山口から笹ヶ峰キャンプ場まで登ることとした。縦走の方向は、当初は石鎚山側から登ることを想定していたが、天気好転が期待される後の方で石鎚に登頂した方がいいだろうし、石鎚の鎖場も乾いている方が安心だということで、計画とは逆方向にした。山中2泊の予定が1泊増えることになるが、下山日(5月3日)は鳴門に宿をとってしまっていたので、その移動も考えたら余裕がある方が良い。

広くてきれいな新居浜市民の森キャンプ場。無料とはありがたい。

4月30日(火)~5月3日(金)
初日は下山口となる石鎚山ロープウェイ乗り場のPに車1台を置いた後、笹ヶ峰登山口へ。笹ヶ峰登山口までの林道は崩落個所があり、車は2kmほど手前で停めるしかなかったが、歩く分には大したことはなかった。笹ヶ峰キャンプ場(丸山荘)に着く頃には、また雨が降ってきた。丸山荘の方が、空いている部屋を使っていいと言ってくれたので、400円/人を払ってありがたく使わせてもらう。小屋のご主人夫妻(?)はとても親切で、ゴザを貸してくれたり、焼酎やおつまみを分けてくれたりなど、至れり尽くせりだった。

お世話になった丸山荘。ゆったりしていたし、水も豊富だった。

二日目の朝もまだ雨が降っていたが、とにかく行動開始。笹ヶ峰山頂は展望が良く瀬戸内海も見える場所のようだが、あいにくの霧であまり見えなかった。それでも雨が一時的にやんでいて、近くの山並みなどは見えて、ほっと一息つくことができた。その後も雨や霧で言葉少なく進む。桑瀬峠を過ぎて伊予富士までの登りが結構きつく、雨も降っていて足元もよくない。東黒森を過ぎたあたりでちょうどいいテント場を発見。

寒風山のあたりから。雲が低く垂れこめているのも上から見ればそれはそれで美しい。

三日目の朝は強風かつガスっていて暗かった。気が重いがとにかく進んでいると、西黒森に着く頃には風がガスを吹き飛ばしてだいぶ明るくなってきた。雲も一気に吹き飛び、瓶ケ森に着いた時には美しい笹原とともに遠くの景色までよく見え、とても気持ちが良い。
山荘しらさ(休館中)に着くと、開けた駐車場があり、ますます天気も良く、テントを干すのにうってつけのため大休憩をとることにした。この日は時間的余裕もあったのでレインウェアなども干し、靴を脱いで昼寝をした。
15時頃に白石ロッジについて、おでんとビールで乾杯。この日は星もよく見え、明日への期待が高まる夜となった。

石鎚山脈の山並みが見えてきた。眼下にUFO(雄峰)ラインも見える。

瓶ケ森から眺める石鎚山。遠いなー。。。

四日目、日の出とともに行動開始。よく整備された登山道で軽快に進む。二の鎖小屋も最近リニューアルされたのか、とてもきれいだ。ここから鎖場「二の鎖」へ。荷物の重みと割と足場の少ない岩場で難儀した。「三の鎖」は避けて巻き道で弥山山頂へ。ここで荷物を下ろし、天狗岳(石鎚山最高峰)へ。ここがまた両側切れ落ちていてなんとも恐ろしい。昨日よりやや霞んでいて、あまり遠くまでは見えないが、イタローの皆と四国の山まで無事に登れたことに感謝。
あとは樹林帯を降りていくだけ。割と急な道で、登ってくるのはちょっと大変そうだ。やはり逆ルートにして良かった。ところどころ振り返ると、石鎚山が屏風のようにそびえていてなんともかっこよく見えた。

弥山から天狗岳へ。高度感たっぷり!

屏風のように並ぶ石鎚山。右から弥山、天狗岳、南尖峰。最高峰は天狗岳の1982m。

石鎚神社成就社で無事を感謝し、ロープウェイで下山。温泉「武丈の湯」でさっぱりした。
この日は鳴門で民泊を利用。楽しいおもてなしをしていただき、良い思い出になった。

5月4日(土)
漁師料理のお店「びんび家」で朝ごはん。刺身や魚の天ぷら、釜飯などを食す。これまた徳島ローカルスーパーらしき「キョーエイ」鳴門駅前店でお土産になりそうなものを買い込んで、渋滞も心配なので早々に四国を出た。途中、淡路北ハイウェイオアシスで「蛇口から出る玉ねぎスープ」を試飲し、神戸在住の会員宅へ。
この日に帰ることもできたが、皆翌日の新幹線を予約していたので、再び打ち上げの夜。夕食はみんなで餃子を作り、合宿写真を早速ディスプレイで鑑賞した。

5月5日(日)
朝、新幹線の時間まで暇なので、新神戸駅の裏にある布引の滝まで散歩。5月の朝の風が気持ちよく、のんびりした朝だった。その後、荷造りをして9時半頃に会員宅を出発、帰京した。

前半は天気に恵まれず計画通りには行かなかったが、会員同士の力で臨機応変に対応できたのが何よりだった。人数も多く長い行程ではあったが、お互いに協力しあって、楽しい良い合宿となった。山中3泊で四国の屋根をじっくり歩けたことも充実感があったし、時間的にも余裕があったので、山旅としてもおもしろい春合宿であった。

笹ヶ峰~石鎚山の間でたくさん見かけたアケボノツツジ。可憐な咲き方で、天気が悪くても楽しませてくれた。