愛鷹山・越前岳ハイキング(2024年8月4日)

今回は隔月定例山行の記念すべき第1回。暑いので標高の高い富士前衛の二ツ塚(1929と1804m)に行くことにしていた。が、何とこの日は新五合目Pに向かう道が通行止めとなっていた。御殿場市内から富士山頂を往復する駅伝大会が開催中ということで、昼過ぎまで規制とのこと。あと5分早かったら通れたような気もしたが、、、残念。それにしても富士登山駅伝とはすごい。下の方の区間の人と、上の方の区間の人で全く異なるトレーニングが必要そうだ。

仕方ないので急遽別の山へ。2020年の新年ハイクで行った越前岳(1504m)が手ごろということで、そちらに向かう。リーダーである私の下調べが悪かったのだが、誰も文句も言わずにささっと別案を出してくれるのがイタローのありがたいところ。

登山口となる十里木高原は小さいながらも素敵な原っぱだった。草原の中に富士山に向かって建つお墓があった。今回登山口の看板を見て初めて知ったが、よく聞く愛鷹山というのは山域のことで、越前岳は愛鷹山の一部らしい。(と思っていたが、少し南の沼津市内に「愛鷹山」というピークもちゃんとあるのだと後から聞いた。最高峰は越前岳のようだが、位牌岳、呼子岳、鋸岳、愛鷹山を含めて愛鷹連峰ということのようだ。)

登山道は土がえぐれて木の根が出ているところが多くちょっと難儀したが、心安らぐ雑木林が良かった。あまり景色が見えるところもなかったが、いつの間にか山頂に着いた。ガスっていて富士山は全然見えない。大汗かいて登ったのに残念。蒸し暑い中、山頂ではトンボがたくさん飛んでいた。

図らずも修行山行となったが、ピンク色のシモツケソウ、赤い実をつけたヤブデマリがところどころで励ましてくれた。2ヶ月に1回、なるべく多くの会員が集まってこういった山行が続けていけたらとても良いなと思った。

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奥多摩 南秋川 小坂志川 湯場の沢 沢登り(2024年6月9日)

今回は会員6名が参加。沢登りは久しぶりのメンバーが多く、比較的短くて易しそうだという湯場の沢へ。武蔵五日市駅前のバスは大賑わいで、ハイキング客だらけだった。バス社員さんが列整理をして2台目も出してくれたので座って乗れた。ありがたい。

バス降りてすぐ林道へ。45分程歩くと入渓ポイント。小坂志川を左に見て、湯場の沢は右から入ってきている。目印は林道右手の崩れたトタン。手摺のない橋の袂から入渓。すぐに右岸にコンクリートの水溜のようなものがあり、これが鉱泉跡らしい。

初めからちょうどよい水量で、最後まで膝下くらいまでしか濡れずに登れた。心配だった寒さもほとんど感じず、ブルブル震える辛い沢登りにはならなかった。水も澄んできれいだったし、2~3mくらいの滝がちょこちょことあって、ゴルジュもあり、短いながら変化があった。沢沿いは広葉樹が美しく鳥の声もたくさん聞こえた。

滝の中を正面切って登ればステップがありそうでも、やはり冷たいのでもろに水にかかりたくはなかったため、脇を登ろうとすると苔が多く滑りそうだった。ベテランメンバーにお助け紐やロープを何度も出してもらいながらだったが、それでも自分で滝を登るのは最高!沢登り2回目のはずのメンバーはヒョイヒョイ登っていて、とても上手でびっくり。

中盤以降は流木倒木でちょっと荒れていたが、最後の詰めもそんなに長くもなく、ヤブもないしわかりやすかった。登山道に出てからはひたすら下りでスギ林の中をつづら折りに下るのが約2時間。ちょっと膝には良くないが楽に下山できた。

全般的にちょうど良い水量と少しの緊張感と、久しぶりでも登れたという大きな達成感で、とても楽しい山行となった。沢登りの自由度の高さと、自然とより一体になれる感覚がやはり最高だと思った。

登山道で1組だけ出会ったが、他に会う人は無く、適度なせせらぎで静かな沢歩きを楽しめた。バスで行けるというのは貴重だし、毎年シーズンインに行きたいくらいだ。6月の梅雨入り前に気合い入れて行った甲斐があった。

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秩父・蓑山 クリーンハイク(2023年6月4日)

毎年この時期に行うクリーンハイクに、今年は9名が集まった。9時5分、青空の下、親鼻駅に降り立ち、参加者全員が合流。駅で軍手とトング、ゴミ袋を参加者に配り、準備を整えて出発。すると目の前に赤いポピーの花の群落。思わず足を止め、撮影する人多数。

萬福寺を過ぎ、仙元山コースを選び、小さな赤い鳥居をくぐり山道に入る。周りの木々に囲まれて展望は無し。

10時25分、車道に出る。ホテル「いこいの村 美の山」付近で10分ほど休憩し、また山道に入る。「絶景まで経路こちら」という道標を見ながら進む。再度車道に出る。

11時、展望休憩舎に到着。ここからは両神山などの山々の広がりが見渡せるので、しばし休憩。近くには「蓑山神社」があるらしいが、そこへは行かない。代わりに目の前に「榛名神社」があった。山頂へ向かう途中には赤や黄色の木イチゴがあり、どちらも甘みを感じることができた。

山頂付近は広くて「美の山公園」となっており、春には桜で賑わい、「関東の吉野山」と称されているとのこと。山頂付近の展望台からは、先ほど見えた山々はもちろん、武甲山までもよく見えた。まさに絶景~!12時10分、ひとかたまりになって昼食をとる。

話はさかのぼるが、我々が山頂付近に到着したとき、大きなテーブルを囲む10人ほどの一団があった。よく見ると「埼玉県勤労者山岳会」と記された旗を立てていた。挨拶をすると、「熊谷トレッキング同人」の方たちとのことで、やはりクリーンハイクのため皆野駅から登って来られたとのこと。都県を越えて同じ活動をしていることは嬉しい。

近くの桜の木から垂れていた紫色の桜の実を食べてみたら、ほんのりとした甘さはあったが、それ以上に渋みを感じた。そんな子ども時代にやったようなことをして、のんびりと昼食をとった後、和銅遺跡経由で和銅黒谷駅へ向かう。

下り始めはヤマザクラの林だ。地面には紫色の実がたくさん落ちている。さらに下ると雑木林で、民家の脇を通り抜けたところで、先頭のメンバーに、道を間違えているのではないか、と別のメンバーが指摘した。しばしその場にとどまり、地図でよく確かめてみたら、その道で良いということがわかった。先頭を行くメンバーはこの道は一度も来たことが無いそうだが、永年の経験の賜物であろう”山道に対する感覚”は鋭いものだと改めて感じた。遭難原因の第一位が「道迷い」によるものだけに、大切な感覚だ。

この辺りで、子どもの頃食べたものとは比べ物にならない大きさの、濃い紫の桑の実を見つけ、二、三粒口にした。先ほど山頂付近で食べた木イチゴよりもずっと甘かった。和銅遺跡ではめいめいが案内板を見て遺跡について学び、露天の採掘坑跡を見る。

14時に和銅黒谷駅に到着。拾ったゴミ重量総計は1kgであった。近年、クリーンハイクで拾うゴミが少なくなってきているが、今年は去年よりもさらに少なかったようだ。先着の熊谷の会の人たちが拾ってくれたこともあるかもしれないが、観光地ともいえる場所でゴミが少なかったというのは、自然を愛する人々のマナーが良くなってきているからではないかと思うのは思い過ごしだろうか。それでも、クリーンハイクはこれからも続けていきたいものだ。

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尾瀬から平ヶ岳 春合宿(2023年5月3~5日前夜発)

立案の経緯と行動概要

 昨年10月中旬に福島県側の御池から燧裏林道を経て尾瀬ヶ原に行き、下田代十字路(見晴らし)にテントを張って周囲を散策しながら景鶴山(けいづるさん)を間近に仰いだとき、「来年のGWに登りにこよう」というアイデアが浮かんだ。この山は東電の子会社、尾瀬林業の私有地とかで「植生保護」の名目で登山禁止だが、雪に覆われている時期だけは入山が「黙認」されているという事情があり、登るチャンスは鳩待峠への林道が開通する4月下旬からGWにほぼ限られるのである。

 ただ景鶴山だけなら群馬県側の鳩待峠から夜行日帰りが可能で、のんびり計画でもせいぜい1泊2日と、せっかくのGW山行としては物足りない。そこで、景鶴山からさらに平ヶ岳にも足を延ばす春合宿プランを提案したところ9人のメンバーが集まり、久しぶりの大人数での雪山合宿への期待がふくらんだ。

 当初の予定は、初日/鳩待峠→山ノ鼻→東電小屋→与作岳→景鶴山→大白沢山BC、2日目/平ヶ岳往復、3日目/スズヶ峰→猫又川畔→山ノ鼻→鳩待峠というものだったが、4月になると急に暖かい陽気になって山でも雪解けが早まっている様子。直近の景鶴山の記録をいくつかネットで見ると、ほとんどが下部で藪こぎに難儀したとある。そこで、初日にいきなり藪で苦労して体力を消耗してしまうより、先に平ヶ岳に登ってから景鶴山経由で下山する逆コースに変更することにした。これなら下りの藪こぎになるので登りより少しは楽だろうという思惑もあったが、それより何より、平ヶ岳の登頂を優先すべきとの思いに至ったからだ。多数のメンバーにとって平ヶ岳の登頂が今回の参加の大きな動機になったはずで、景鶴山より標高も品格も上の名山に、しかも残雪のときにしか登れないルートから頂上に立てば大きな達成感を得られるにちがいない。

 結果、入山二日目に快晴のもと展望絶佳の平ヶ岳に登頂。雪解けで藪が出て黒々としたすがたを見せていた景鶴山は残念ながらパスして下山した。

 なお4月9日には全メンバーが歩荷トレーニングをした。大きな山行ではこういう事前の準備も大切にしたいものだ。

5月2日 車中での仮眠

 車2台で池袋と新座駅を19:30に出発して関越道上里SAで合流。沼田ICから一般道を走って群馬側の尾瀬への起点である戸倉へ着いたのは23時頃。ゲート入口の看板に大きく「駐車場内テント、火器禁止」とある。車内で仮眠するしかなさそうだ。

5月3日 スズヶ峰を越えてベースキャンプ設営

 5時には起きて共同装備の荷分けをしてパッキングを済ませ、5時50分にワゴンタクシーに乗って鳩待峠1591mへは40分ほど(1人一律1000円)。峠にはもうかなりの登山者がいて、しかもそのほとんどが続々と至仏山へと登っていく。

 尾瀬ヶ原の一端、山ノ鼻1404mへは長く緩い下り。やはり雪解けは早いようでかなりの部分はもう木道が出ていて、その上に薄く雪が載ったり凍っていたりと油断できない。

 山ノ鼻から「植物研究見本園」を囲む木道を少し進み、その先で猫又川右岸の残雪を踏んでいく。うれしいことに連休後半は好天続きの予報、青空に映える山並みや澄んだ流れの畔を彩る拠水林の新緑が目に心地いい。秋も、春の尾瀬もいい。

 この日の行程はどこから主稜線に上がるのかが読図の大きなポイントだが、柳平のC(等高線、Contour)1450m付近から1663mピーク手前のコルをめざして支尾根をたどることにする。下部は藪が出ているところや急な登りもあったが、標高差200メートルほどの登りを1時間ちょっとのがんばりで主稜線へ。あとはたおやかな尾根をBC予定地の大白沢山まで淡々とたどればいいので安堵する。

 岳ヶ倉山1816mへはかなり急な登り。そこを越えると小さな登り下りを繰り返しつつ、彼方まで広がる山岳展望を楽しみながらスズヶ峰1953mへ。あたりはどこにでもテントが張れそうな広場のようなところでテントが二つあったが、風を避けられる地形ではない。さらにそこからがくっと下ったC1852mのコルに素敵な平地があり、風の影響も受けない場所なので、当初の予定地よりは少し手前だがここにテントを張ってベースキャンプとする。まわりにほかのテントがないのが何よりだ。

 テントに落ち着けば、あとは山上でのしみじみとした時間が始まる。さっそく一杯。今回、食事は夕食、朝食とも各自にした。共同で作っても食べない人がいて余らせてしまうよりはこのほうがいいのかもしれない。

5月4日 至福、眼福の平ヶ岳

 4:00起床。「ぐっすり眠れた」という人がいれば、「寒くてよく眠れなかった」という人もいる。この差をもたらすのはシュラフの羽毛量の違いとか、羽毛服を持ってこなかったとか、端っこに寝ていたからとか、はたまた体質だとかいろいろだが、その対策は当人次第だ。こんなに寒いのはもういやだという人は次に備えてしっかり考え、一晩くらい寒くたってどうってことない人や寒かったことをすぐ忘れてしまうずぼらな人は、次の山行でも寒い思いをするのだろう。

 それにしても静かな、さわやかな朝だ。出発の準備をしていると、スズヶ峰に張ってあったテントからだろう二人組が朝のあいさつを交わしながら通りすぎていった。

 昨夜の冷え込みで雪面はがちがちに凍っているのでアイゼンを着けて出発。1911mピークで東へ大白沢山を経て景鶴山2004mへと続く尾根と分かれ、まっすぐ北上する尾根に入っていく。広くて伸びやかな尾根に雪もたっぷり着いているので気持ちよく足が進む。一個所藪が出ていたが、ほんのわずかな距離だったのは幸いだった。

 1920mピークからいったん大きく下り、白沢山1963mへ登り返す。ここまでが約3分の2の行程で、白くて円い平ヶ岳の頂上が目の前に大きく近づいてきた。登るほどにますます展望が広がり、振り返ればすぐ後ろに至仏山と景鶴山、遠くに燧ケ岳、右の彼方には会津駒ヶ岳など南会津の山の連なり、左には利根川源流山地の山々。これまでこんなに素晴らしい眺めのなかを歩いた記憶はそう多くはない。

 頂上への最後の広い急斜面を一歩一歩、じわじわっと登っていくと目の前に長い棒のようなものの頭が現れ、進むほどにそれが徐々に空に高くなっていく。やがて傾斜が消えてひたすら平らで広い頂上台地に出た。うれしい瞬間だ。みな、ニコニコしている。テントから約4時間半の登りの先に待っていた至福、そして大展望の眼福。

 それにしても平ヶ岳とは、正直な名前だ。こんなに広い頂上がほかにどこかにあるか思いつかない。

 頂上で40分ほどのんびりした時間を過ごして下山開始。目の前にある景鶴山は山肌が黒々としていてひどい藪こぎになりそうだ。あしたどうするか思案しながらテントに戻る。まだ15時。テントの外に銀マットを敷いて水作りしながらハイ・ティー、というか自然に宴会になって、やるべきことをやったあとのこういう時間はほんとうに楽しい。この席で、あしたは景鶴山をカットして往路を戻ることを伝える。

5月5日 また下界へ

 テント場からいきなりスズヶ峰への急な登り返しが朝一番の苦行だった。それを過ぎればあとは緩やかに下っていくだけだ。岳ノ倉山を越えた先のコルから往路に登った支尾根を猫又川まで下るのもいいが、それではちょっとつまらないというか、せっかく道のない原始の山にいるのだから読図して違うルートを探ってみるのも大事だろう。2万5千図を見ると、スズヶ峰からしばらく下った先の1818mピーク手前のコルから南東に左俣の二俣まで長く明瞭な尾根が延びている。ここを下ることを提案し、みなで確認した。

 C1880mあたりから主稜線を外れて左に、ルートファインディングしながら下っていく。藪を避けるためときどき広い尾根の右に寄りすぎてしまったこともあったが、その都度修正を繰り返し、めざす二俣にぴたっと降り立つことができた。あとはもう大きな登りも下りもない猫又川右岸をたどって山ノ鼻、さらに鳩待峠へ戻るだけだ。

 猫又川沿いは3日前より急速に雪解けが進んで猫又川へ流れ込む支流の水嵩が増え、2か所ほど靴を履いたまま徒渉する羽目に。あと一週間もしたらこのあたりの雪もほとんど消え、やがて静寂の世界に戻るのだろう。そして一年後の春の短いひと時、またわずかな人数ながらも平ヶ岳をめざす人たちがやってくるのである。

 山ノ鼻に着いたら、いきなり人の溢れる別世界になった。まさかのスカートに街靴の人もいる。ここには売店もあって、冷えたコーラを買って回し飲み。うまい。ああ、ここでもう歩かなくていいならどんなにいいかと思うが、3日間の最後の試練、鳩待峠まで約1時間の登り返しが待っている。軽装の人たちにたくさん抜かれながらもやっと峠に到着して、やれやれ、これで終わった。

 再びワゴンタクシーに揺られて戸倉の車に戻り、沼田街道の途中にある焼肉レストラン「あおぞら」の焼肉で楽しかった3日間を締めた。みなさん、お疲れさまでした。

尾瀬ヶ原から燧ヶ岳方面

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夏合宿 北アルプス雲ノ平(中退) 2022年7月16~18日(前夜発)

以前から行きたいと思っていた雲ノ平だが、日数がかかることやコロナウィルス感染の影響でなかなか計画を立てられずにいた。それが今回やっと夏合宿として足を踏み出すことができたのだが、結果的には悪天のため双六岳ピストンに終わってしまった。雲ノ平は遠かった。。。

7月16日早朝、東京在住会員と神戸在住会員が新穂高で無事に合流した。共同装備分けと軽く腹ごしらえをしていざ出発。天気予報はあまり良くないが、鏡平に向かう道中は青空となり、双六にテントを張るまでなんとかもってくれと祈る。カンゾウやササメユリの咲く平坦な砂利道を30分ほど歩いてわさび平小屋で休憩。小屋の前には大きな水槽に飲み物やら野菜やらが冷やしてあり、涼しげでカラフルでおいしそう。さっそくトマトをかじった。

その先さらに30分ほどで小池新道入口。ここから山道となる。ピンクの花のタニウツギなどの灌木帯の石の道を夏の日差しに照らされて登っていくと沢の音が聞こえてきた。秩父沢だ。冷たい水が豊富に流れていてありがたい休み場だ。ボトルに詰め、手拭いを濡らして涼をとる。なぜ、ここで「秩父」なのかと不思議に思ったので帰宅後に調べたら、昔、秩父宮(1902~1953)が槍ヶ岳から笠ヶ岳に向かう際、通った稜線上を秩父平とし、そこからの沢として秩父沢と名付けられたそうだ。

緑とお花いっぱいの開けた登山道。黄色くて小さめの花はミヤマキンポウゲ、大きめはミヤマキンバイの群落だろう。イタドリヶ原、シシウドヶ原と名付けられた場所もある。そんな中、暑さのせいかYさんの足が攣りだしてつらそうだ。薬を飲み、塩分補給、痛み止めシートを貼ったり、荷物を少し分けたりして歩を進めてもらう。

対岸の稜線の端っこに槍の頭が見えたのも束の間、雲が出てきて鏡平の手前で雨具を着る羽目になった。鏡池に槍は映らなかったが、鏡平小屋に到着して一段落。営業小屋に宿泊はできるが、テント場はない。休んでいる間、雨が上がったので雨具は脱いでしまった。コーヒーフロート1000円だがそれだけの価値はあった。ここまで抜きつ抜かれつしながら上がってきた単独の女性が声をかけてきて、双六小屋まで行く予定だったが天気が悪いので、鏡平小屋泊に変更してゆっくりして帰るとのこと。我々は双六までがんばろう。

登り出すとまた雨が降ってきてさっき脱いだ雨具をまた着る。Oさんは雨具のズボンははいたままだったので上だけ着ればよくてスムーズだ。空があやしいときはその手でいこうとひとつ学んだ。標高が上がると右の谷からの風もあるし、所どころ残雪もあって体が冷える。弓折岳から笠ヶ岳方面の分岐を過ぎて主稜線に上がる。雨がますます強くなり、雨具を着ていてもびしょ濡れ。最悪の場合、ここにテントを張ろうかという雪原もあったが、まだ歩けるので、休まずに双六テント場をめざした。

小屋が見えてからも意外に長かったが、双六テント場にようやく到着。すでに20張りくらいか。ネットで調べてテント場の予約不要と思っていたが、この日は予約が必要だったとのこと。幸いキャンセルが出たため通常料金で張らせてもらえた。それでも1人1泊2000円。トイレ1回200円。今はこれが北アルプスの相場となっている。ビールは350ml缶600円なり。

テントに入れば楽しいわが家だ。乾杯!残念なことに直前に家庭の事情で不参加となってしまったTさんからの差入れの干物をあぶっていただく。晩ご飯はYさんが準備してくれた。α化米ごはんに紫蘇昆布、さけほぐし、ちりめん山椒、牛そぼろをたっぷりかけて食べた。

明日、明後日も雨模様の不安定な予報なので、このまま先に進むと悲惨なことになりそうだ。期待はできないが明朝、再度天気を確認して進退を判断することとした。もしここまでとなっても、Sさんはまだ双六岳に登ったことがないので、ここまで来たなら登っておいたほうがいいだろうと話してシュラフに入る。夜中にザアザア雨が降った。

17日朝、雨は上がっていた。今のうちに双六岳に登ってこよう。Yさんをテントに残して4人で水とカメラだけ持って出る。上ではガスで展望が利かないのがとても残念だったが、帰りは中道ルートを下ると日が差してきてチングルマ、ハクサンイチゲ、シャクナゲ、シオバカマ、ハクサンチドリ、クロユリ、コバイケイソウなどお花畑がきれいだった。テントに戻ってしばし検討するが撤退を決断。この日はわさび平小屋までとする。

下りはやはり楽だ。稜線上はガスがかかっている。もう一泊できるのもうれしくて後ろ髪をひかれる思いはなかった。また鏡平で長めに休憩。ここで雲ノ平山荘に雲ノ平テント場予約キャンセルの電話を入れた。さらに快調に下っていくが、秩父沢のあたりからまた小雨がパラついてきた。山の上は本降りか。わさび平15:40着。テント場は小屋の少し先から左に入った林の広場。静かで雰囲気のいいところだ。他に2張りのみ。

18日朝、出発前にソロの男性と話す。彼は、ここにテントを残して未明に出発して1日で黒部五郎岳までピストンしてきたという。帰着は我々より遅く日が暮れてからだった。荷物を極力軽量化するため、水や食料は先々の小屋で調達したとのこと。それにしても地図上のコースタイムは約22時間だから、ものすごい健脚だ。我々も今度また雲ノ平にトライするならスピーディーに行動するためにはそれも一案と話したのだった。この日も下界は晴れているが、稜線を見上げると暗い雲に覆われている。中退したことに後悔はない。新穂高から平湯にバスで出て、“ひらゆの森”でお風呂(600円)に入り、おいしい食事のあと、東京組と神戸組に分かれて解散。神戸組は途中で飛騨高山観光を楽しんで帰ったようす。皆さん、お疲れさまでした。

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佐渡 金北山~ドンデン高原 縦走(2022年4月28~29日前夜発)

今回はひたすら花をめでる山行だった。発見した主な花は以下の通り。

名前がわからないものも含めて、とにかくよく咲いていた。樹木の木陰で咲いていても、量が多く登山道の近くまであるので目立つ。カタクリは終わりに近かったが、一生分のカタクリを見たような気がする。

 もともとは椿登山口というドンデン山荘の東側の登山口から入山するつもりだったが、出かける前々日くらいに、メンバーが佐渡トレッキング協議会のHPで、椿登山口コースは通行禁止になっていると教えてくれた。今年は残雪が多くて危険なんだそうだ。仕方がないので急きょ、縦走の向きを変更して逆側の金北山登山口に向かった。タクシーの運転手さんが沢口登山口は車で入れないとのことで、栗ヶ沢登山口に連れて行ってくれた。

 この日は快晴で気持ち良い木漏れ日。歩き始めてすぐにカタクリやショウジョウバカマが現れた。神子岩まで来ると急に開けて、佐渡島の東西の湾が両手に見えた。ところどころヤマザクラも見えた。

 登るほどに登山道に残雪が多くなって、道がわかりにくくなった。最後の急登のやぶをこぐと金北山の直下の縦走路に出た。金北山頂は自衛隊の施設が廃墟となって残っていて、なんとも異様。2010年まではこの警戒管制レーダーが使われていたようだが、隣の妙見山に新型ができて役目を終えたそうだ。気象条件が厳しいからなのか、10年でこんなに荒れてしまうとは。昨今はミサイルが飛んでくるので新型が必要なのもわかるが、山頂は原状回復してほしいところだ。とはいえ貴重な税金なのでそうも言えないかぁ、複雑な気持ち。

時間があれば廃墟の中も探検したいところだったが、だいぶ遅くなってしまったのでテント場探しを急ぐ。金北山からは稜線歩きだが、あやめ池の方に降りるところで残雪の結構な急斜面が現れた。上から見ると下がどうなっているか見えないほどの斜面だった。張ってあったロープを使って一番手が降りると、急なのは上の方だけで、なんとか大丈夫そうだとわかった。それでもだいぶドキドキしながら降りた。30mほどだろうか、ここだけはちょっと嫌だった。チェーンスパイク、軽アイゼンが役立った。

幕営地はあやめ池の周辺で期待していたが、池の周りは樹林帯で湿地になっておりなかなかいいところがなかった。もう少し稜線を歩いて、登山道の脇に少し開けたところがあったので、雪の上だったがそこでいいことにした。この時期のテント場探しはなかなか難しい。夕食はカレーうどん。テントで久しぶりに楽しい夜を過ごした。

2日目は天気が下り坂の予報。でも前日頑張った甲斐もあり、余裕を持って気楽に歩くことができた。ここの稜線は海や花を見ながらの気持ちの良いコースで、そんなに苦しいこともなくトコトコと歩けた。誰にも会わずに静かに歩けたのも良い。花がたくさんあって写真を撮るために屈んだり立ち上がったりするのが疲れた。佐渡トレッキング協議会に事前に送ってもらったトレッキングマップに書いてあった花の紹介がとても役に立った。

雨が降る前にドンデン山荘に到着。ドンデン山荘は車でも行ける立派な山荘で、カレーやコーヒーを頼んでゆっくりできた。天気が良ければドンデン山荘のテント場で一泊して翌日も少し歩いてから下山しようと思ったが、だいぶ天気が怪しくなってきたので、タクシーを呼んで早々に下山することとした。前日に送ってもらったタクシーの運転手さんを呼んだら割とすぐ来てくれて助かった。(ちなみにこの運転手さんとは帰りのフェリー乗り場でもばったり再会して、なんだかほっこりした。)

下山後は、フェリー乗り場前のレンタカー屋へ。さすがのGWで、なんとか借りられたのは10人乗りのハイエース。4人には豪華な広さ。この日は暴風雨で、山上で幕営していたら相当辛かったと思う。

翌日は朝からすっきりと晴れて終日観光。矢島・経島でたらい舟に乗り、宿根木の伝統的町並みを散策し、トキの森公園でトキの観察と、南の海岸をぐるっと半周して両津に戻った。海岸沿いのドライブで、のんびりとしたいい旅になった。ゆたかや旅館の食事も魚や米をはじめ、佐渡の食材がたくさん使われてとてもおいしく、大満足だった。行き帰りともに佐渡汽船のカーフェリーは真新しい船で、2等のじゅうたんエリアも十分居心地が良く、半日くらいゴロゴロ乗っていたいくらいだった。今回は急なコース変更となったが、予定していたコースはほぼ歩けたし、想像以上にたくさんの種類と量の花が見られて本当に良かった。

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雪山講習会(2022年3月6日)

 これまで、会で受継がれてきた技術等を繋げていくべく、毎年、3月第一日曜日に雪山講習会を開催しています。今年は、初心者を対象に基本的な技術・知識の習得を目指した雪山講習会をしました。

講習内容は以下の通り、盛りだくさん!
 ①弱層チェック
 ②斜面工作
 ③雪上歩行
  直登行、直下降、斜登行、斜下降、トラバース、アイゼンワーク、
  ピッケルワーク
 ④滑落停止
 ⑤雪山でのテント設営及びツェルトの活用
 ⑦ラッセル練習
 ⑥ビーコン操作と捜索
 ⑦雪山でのロープワーク

弱層チェック
弱層チェック

 スコップで穴を掘り、チェックをするために使う円柱形を作りました。その円柱を押してみたところ、それほど力を入れなくてもスパッと、ずれ落ちてしまいました。


雪山でのロープワーク
雪山でのロープワーク

 斜面を踏み固め、滑って整え斜面工作の過程で作り上げました。その斜面を使って、 直登行、直下降、斜登行、斜下降、トラバース、アイゼンワーク、ピッケルワーク 、滑落停止訓練、ロープ確保をしました。
 滑落する人を止めることが、いかに大変かを体験しました。

みんなでランチタイム
みんなでランチタイム

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足尾山地 中倉山~沢入山 山登り(2021年10月31日 前夜発)

以前別の会員が行って撮影した写真が印象的だったため、行ってみることにした。最近ちょっと人気の山らしい。この山のシンボル的存在は「孤高のブナ」だそうだ。そこまで行って戻るだけなら日帰り可能なようだが、沢入山(そうりやま)まで足を伸ばすことと、あまり馴染みの無い方面ということもあり、余裕をもって前夜発とした。

前夜、大畑無料駐車場に着くと他に車は無く、満天の星空の下、静かな夜を過ごせた。トイレもあり、きれいに管理されていた。翌朝、車で数分の銅親水公園駐車場に着くと車が10台以上停まっていた。やはり昨夜の駐車場は正解だった。

ゲートを越えて進み、左に見える橋を渡ってさらに松木沢方面のルートを右に分けて左の仁田元川沿いを目指す。川岸近くに白い点々がたくさん見えていたが、行ってみると植樹された一本一本の木につけられたプレートで、地元の小学生が今月植えたばかりのものだった。

平坦な道を進むこと1時間で中倉山登山口となった。ここからくすんだ紅葉の雑木林の中、ジグザグと上がっていく。標高約1300mの尾根までひとがんばりすると展望が開け、傾斜も緩む。地面には小笹が緑を添える。

登っていたら、木の幹にセミの抜け殻がたくさんついているのを発見した。どれもが山の斜面下側の樹肌に頭を上に向けて一列に並んでいる。山から吹き下ろす風をよけるためだろうか。しかもほとんどの抜け殻は、樹皮に割れ目のあるナラかカシワかの樹についている。セミもホールドやスタンスがしっかりある所がしがみつきやすいのだろう。それでも、たまーにつるんとした樹に一匹見つけることがあって、これは上級者(セミ)もしくは独立独歩を好む変わり者で一人(匹)頑張ったんだなぁと感心した。

中倉山直下でルートが分かれ、メンバーの1人は右からなだらかに登るルートを、2人は左の直登ルートを選んだ。後者のルートでは途中、赤黄に色づいた樹木が大岩に寄り添うちょっとした展望台があった。ここから左にトラバースルートが分岐していたが、山頂へは直登する。3人合流して台地状の中倉山山頂1499mへ。右に松木沢を挟んで男体山が大きく見えるが、頂上には雲がかかっていた。そして山頂の先の鞍部にぽつんとある一本のブナを見下ろせた。かっこいい。これが「孤高のブナ」か。周りはロープで囲われ、近づいて直接触れることはできなかった(コロナ感染予防なのだろうか?)。

時期的には多少遅いものの、左の山肌は紅葉のパッチワークとなっていたが、青空でなかったのが残念。天気が崩れてきて多少雨粒を感じるようになったが大したことはなかった。行く手に見える山の稜線は、右側ははげた露岩の急斜面で、左は緑の絨毯敷きで白樺林の緩斜面になっていた。登山道はその縁を這い上がっていた。頂上に枯れ木1本の波平ピークを越え、沢入山1704mまで約1時間。頂上の先には、またのびやかな緑地が広がっていて、その奥に整った三角形の皇海山がよく見えた。

小休止の後、スタート地点を目指して戻るが、波平ピークを下りたら分岐右のトラバースルートで先の大岩展望地点まで行く。ここからは登ったルートを下山。帰りの林道では秋晴れとなった。また一つ良い山行ができた。

資料を見ると沢入山からさらに庚申山まで登山道がつながり、途中に幕営できそうないいところもあるので今度は春に山中一泊で歩いてみたい。

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荒島岳 山登り(2021年7月23日 前夜発)

今年はコロナ禍であまり遠出できず、高い山にも登れていないので、7月の連休だけはちょっと頑張る山に行こうと思って福井県の荒島岳に行った。荒島岳は日帰りできる山だが、結構急登もあるし夏は暑くてしんどいという前評判だった。

前日は福井駅からレンタカーで勝原(かどはら)園地(大野市営の無料キャンプ場)へ向かった。勝原園地は集落から少し離れて林の中にあるので行き方はわかりにくかったが、行ってみるとたくさんの車があって驚いた。ここは汲取トイレと川の水を引いた簡易な水場があるだけだが、トイレットペーパーが置かれて草刈りはしてあるし、無料のわりによく管理されて気持ちの良いところだった。周りに店はまったくないが、河原もあり結構広く、適度に木も生えているので穴場的な人気キャンプ場のようだ。

我々も大きな松の下にテントを張って久しぶりのテント泊を楽しめた。夜、少しだけ雨が降ったようだが、ぐっすり眠ることができた。

今回は勝原コースから登って下山(しもやま)コースで下山することを考えていたが、前日もものすごく暑かったので、少しでも行程の短い勝原コースのピストンに急遽変更した。

勝原スキー場跡地から登っていくが、最初の坂がアスファルトの真っ直ぐな急登で、木陰もなく朝から強い日差しで、これだけでかなりのダメージを受けた。ようやく土の道に入って40分ほど歩くと、リフトの大きな滑車の残骸のようなものがベンチになっていて一休みできた。ここでなんと、「荒島岳登山口」という看板が立っていて、「え~、ここがまだ登山口なの??」とひどくがっかりした。

その後も特段眺望があるわけでもなく、ひたすら登っていく。白山ベンチというところも木が茂って白山はよくわからない。大きく明るいブナ林が木陰は作ってくれているものの、とにかく暑い。ずっと団扇で仰ぎながら歩いた。時々咲いているお花とたまに吹いてくる涼しい風に癒される。春に来たら結構お花がきれいな山のようだ。

中出コースと合流すると「もちが壁」という岩場(鎖やはしごあり)があり、すれ違いなどで少し時間がかかった。岩場を過ぎると急に樹木の背丈が小さくなって開けてくる。

頂上にぽっと出ると、そこは突然お花畑になっていた。このお花畑があったおかげでご褒美をもらった気がした。トンボもたくさん飛んでいた。あいにくガスが湧いてきてしまって周りの山はよく見えなかったが、大野の街の方はよく見えた。そういえば昨日も大野市街から荒島岳はよく見えたなぁ。

下りもとにかく暑い。気温が上がってきて蒸される。朝登って来たアスファルト道の両側には個人の名札付の記念の桜がたくさん植樹されていたが、この暑さで枝がうなだれてしまっている。朝はそうでもなかったのに。記念植樹なのでなおさら枯れてしまわないか心配になった。

やはり前評判通り修行のような山行だったが、久しぶりにテント泊もできたし、ブナの美しい林と高山植物も見られたし、暑さにめげずにちゃんと登れたということで個人的には満足な山行だった。結構花があったので、雪解けの春にも来てみたいなぁ。

余談だが、勝原駅の裏側には花桃園があり、きれいに整備された花壇や遊具などがあった。地元の方が丁寧に管理されているのだと思う。無人の勝原駅には駅ノートがあり、乗り鉄さんたちの熱い思いも感じられた。私たちも下山コースで下山する場合には乗ってみようと思っていたので、今後も廃線にならないことを祈るばかりだ、、、

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安倍奥 山伏 山登り(2021年5月2日 前夜発)

図書館で『関東日帰りの山ベスト100』(実業之日本社)『関東の名山ベスト100』(JTBパブリッシング)等のガイドブックを借りてきて、これから行ってみたい山は無いかとあれこれページをめくっていたところ、この山伏(やんぶし)の案内があった。そこにあった写真は、笹原の広い頂上の目の前に南アルプスの白い山々、そして富士山が大きく輝いていた。GWの合宿がコロナ禍で中止になってしまったが、代わりとなるいい山が見つかったということで、会員3名で行ってきた。なお、安倍奥とは静岡の安倍川源流域を指し、山伏はそのエリアの最高峰である。

前日の昼過ぎに府中本町駅に集合し、中央道甲府南ICを降りた。ここから南下して安倍峠を越え梅ヶ島温泉経由で西日影沢登山者駐車場を目指したのだが、林道が安倍峠への登りにかかる手前でゲートが現れ、まさかの通行止め。道が崩壊しているとのこと。結局、中部横断道富沢ICから新清水JCTを経て新東名道静岡ICと遠回りして目的地に着いたのはもう暗くなった18時過ぎだった。河原に今年初めてのテントを張った。

登り始めてしばらくは西日影沢沿いの道。ワサビ田があるのは、それだけ水がきれいということか。コップを置いた水場が二か所。やがて沢を離れて急な山腹を登りきると蓬峠で、ここで半分といったところ。ここから先は尾根を右に左に小さく乗っ越しながらジグザグを切って登っていくので、傾斜はあるもののそんなに大変ではない。あたりは落葉樹なので展望もいい。

いつしか尾根が開けて傾斜が落ち、西日影沢分岐まで来るとそこはもう頂上台地の一角で、分岐を右へ。その先、林を抜けると一気に空が開け、笹原に敷かれた木道を緩やかに登って頂上に立った。青空の彼方に南アルプス南部の山々が白く鮮やか。これぞ眼福。

あれが赤石岳か?じゃあそこの左は聖岳だなとか、山座同定に挑戦。振り返れば富士山もどーんと大きいが、ここでの人気はイマイチで、ほかの登山者もみな、南アルプスのほうを眺め入ったりカメラを向けたりしている。のんびり長居したいところだが、草っ原に座って弁当を食べているうちに日が陰って寒くなったので、頂上を後にする。こちらの方の山は初めてだが、遠路はるばる来て良かったなと思った。帰りの中央道は大渋滞だった。

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